同業グルメ
ねえねえ達の手が止まらない夜

ねえねえ達の手が止まらない夜

ゆうなんぎい

その他3,000〜5,000円
沖縄県那覇市

首里特製味噌を使ったラフテーが看板の老舗沖縄料理店で、厨房と接客の連携が完成されている一軒。

コンセプト商品ホスピタリティ空間価格
間違いない
最後の晩餐に

有澤まりこ

飲食業界

株式会社サンラサー

東新宿サンラサーオーナーシェフ

有澤まりこ

那覇の路地をひとつ折れると、営業開始の1時間も前だというのに行列が伸びている。予約は取れない。並ぶしか道はない。それでも人が来る。ゆうなんぎいはそういう店だ。

ねえねえたちが厨房に立つ意味

もともとはごく普通の沖縄料理屋として始まったらしい。ねえねえたち——年配の女性たちが、自分たちが慣れ親しんだ料理を出すだけのつもりだったと聞く。商売気よりも、食べさせたい気持ちが先にあったのだろう。それがいつのまにか那覇を代表する一軒になっていた。仕掛けて有名になった店と、気づいたら有名になっていた店では、厨房から漂う空気がまるで違う。ゆうなんぎいは明らかに後者だ。

カレーという料理と毎日向き合っていると、スパイスの使い方よりも先に「誰がどんな気持ちで作っているか」が皿に出ることを知っている。この店のねえねえたちの手際を厨房越しに見ていると、長年かけて体に染み込んだ所作というのがある。無駄がない、とかそういう話ではなく、動作に迷いがないのだ。次に何をするか考えていない。体が動いている。

ラフテーの、その味噌の話

名物のラフテーは醤油ベースではない。首里で作られる特製の味噌を使って炊いている。これがまず面白かった。豚の三枚肉をじっくり煮込む料理だから、当然その煮汁の設計が全体の味を決める。醤油ベースのラフテーがもつ、あの輪郭のくっきりした甘辛さとはまるで別の仕上がりになる。味噌の発酵由来のまるみが、豚の脂と溶け合ってどこまでも柔らかい。

フーチャンプルーは麩と野菜の炒め物だが、麩の扱いが丁寧だった。水分を絞りすぎず、かといってべたつかない。卵を絡ませた状態で火を入れる加減が、炒め物として非常に繊細な仕事をしている。スルルー——キビナゴの揚げ物——はそのまま齧るような素朴さがありながら、酒肴として完成されている。いなむどぅちは白味噌仕立ての豚汁で、出汁の引き方がおとなしいように見えて、食べ終えた後じわじわと体に残るような奥行きがある。どれも、レシピ通りに再現できても絶対に同じ味にはならないだろうと思わせるものだった。

人が来続ける理由を見ていた

食事をしながら、店員さんの動きを追っていた。お客の手元を見ている。料理を持ってくるタイミングだけでなく、追加の注文を取りに来る間合いが絶妙で、「そろそろ呼ぼうか」と思った瞬間にすでに近くにいる。マニュアルで身につけられる種類のものではない。空間全体を常に把握している、という感覚だった。

オーナーの接客はまた別の種類のものだった。人懐っこいという言葉がぴったりくる。初めて来た人間にも、常連にも、同じ温度感で話しかけてくる。距離を詰めてくるわけでもないのに、気がつくと会話が生まれている。沖縄の人特有のあの感じ、と言ってしまえば簡単だが、それをサービスとして機能させるのは別の話だ。

予約が取れないから並ぶ。並んでも来るだけの理由が確かにある。カレーと沖縄料理ではジャンルが違うが、この店に流れている何かは、自分の店で絶対に持ちたいと思うものだった。料理が体に染み込んでいる人間が、客を自然に迎えていて、空間全体が穏やかに機能している。勝ち負けの話をするなら、土俵が違うとか戦略が違うとか言い訳はいくらでも作れる。でも正直なところ、勝てる気がしなえい。

店舗情報

ゆうなんぎい

その他3,000〜5,000円

沖縄県那覇市〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地3丁目3−3

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