
金沢に置いてきた台所
七福
和食
石川県金沢市
「親父さんの目利きによる近海魚の刺身と女将の家庭料理が揃う、金沢・堀川町の老夫婦が営む小さな和食店。」
コンセプト商品ホスピタリティ空間価格
本当は教えたくない忘れられない
マイベスト
最後の晩餐に
金沢に来るたびに、堀川町の暖簾をくぐる。それ以外の選択肢を、もはや頭の中に持っていない。
親父さんの包丁が語るもの
七福の刺身を前にすると、言葉より先に手が動く。カワハギ、サバ、アジ、香箱蟹。いずれも近海ものだ。水揚げからここに並ぶまでの時間の短さが、断面の艶に出ている。親父さんの目利きと包丁捌きは、一切の無駄がない。特にカワハギの肝あえは、肝の濃さと身の淡白さが皿の上で完全に折り合っている。これを食べると、他所でカワハギを頼む気が失せる。

女将さんの鍋が教えてくれること
刺身が親父さんの領分だとすれば、サイドメニューは女将さんの仕事だ。マカロニサラダ、肉じゃが、牛すじ煮込み、季節の野菜料理。どれも過不足がない。主張しすぎず、しかし確実に芯がある。金沢に別宅を持つとしたら、そこの台所はこういう味がするはずだ、とその都度思う。

手取川と、おにぎりの夜
酒は手取川の四合瓶が何種か揃っている。それで十分だ。品数が少ないことが、むしろ信頼の証だと感じる。刺身を肴に杯を重ねて、〆はおにぎりと味噌汁のセット。温かい汁を一口飲んだとき、夜が静かに着地する。

もとは金沢駅前の古びたホテルの地下に間借りするような形で営業していた。それが十年ほど前に堀川町へ移転した。老夫婦二人で続けているこの店が、今も変わらずそこにある。死ぬ前に食べたいものを一つ挙げろと言われたら、ここのカワハギの肝あえと、おにぎりと味噌汁と迷わず答える。どうか元気で、店を続けてほしい。
店舗情報
七福
和食
石川県金沢市日本、〒920-0847 石川県金沢市堀川町23−14
