
ひよった自分を叱りたくなる一杯
トゥッペギチッ / 뚝배기집
「鐘路にある4品限定チゲ専門店で、タニシ出汁のテンジャンチゲをビビンバ式に楽しむソウル名物の一軒。」
ソウルの鐘路(チョンノ)に常宿を取るようになって、もう何年になるだろう。その界隈に、必ず立ち寄る店がある。「トゥッペギチッ(뚝배기집)」。店名の「トゥッペギ」とは韓国の伝統的な土鍋のことで、メニューはその土鍋を使ったチゲ料理が4品だけだ。

テンジャンチゲからの卒業
これまで何度訪れても、いつもテンジャンチゲかスンドゥブチゲを頼んでいた。看板メニューの「ウロンテンジャンチゲ」、つまりタニシの味噌チゲは、正直ずっと避けていた。タニシ、という響きに、どこか腰が引けていたのだ。
今回、ようやく注文した。
運ばれてきたのは深い茶褐色のチゲ。スプーンを入れると、アサリやシジミに近い澄んだ出汁の香りが立つ。口に入れると、癖がない。むしろ甘みさえある。タニシの身はアワビやサザエのようにコリコリとした強い歯応えで、チゲの中にあってもその存在感を失わない。何度もメニューをスルーしてきたことを、スプーンを持ったまま少し考えた。食わず嫌いとはつくづく損なものだ。

ツボから大根ナムル入れ放題
チゲだけでは終わらない。テーブルには数種のおかずが並び、各テーブルには辛い大根ナムルが入ったツボが置いてある。これが入れ放題だ。
ご飯におかずをのせ、大根ナムルをたっぷり加えて、コチュジャンを適量、チゲをスプーンで2杯ほどかける。あとはひたすら混ぜるだけ。ビビンバになる。チゲの旨味がご飯に染みて、これがまたうまい。チゲ単体よりもこの食べ方のほうが好きかもしれない、と毎回思う。

行きやすくて、ひとり飯が最強
昼と夜の食事時には行列ができる。ひとりで来ても、気軽に入れる。現地のお客さんもひとりで入ってくる。そういう店だ。
ソウルの物価はこの数年で上がった。飲食もお酒も、もはや日本と大差ないと感じる場面が増えた。それでもここではCass(カス)の大瓶が4,000ウォン。この価格で、こういう食事ができる。ウロンテンジャンチゲは、次回からも迷わず頼む。
店舗情報
トゥッペギチッ / 뚝배기집
ソウル特別市鐘路区 鐘路16キル 12
