
基準点であり、最高峰でもあり続けるトップランナー
藤店うどん
「醤油が際立つ濃厚なつけ汁に、小麦の強さとコシを兼ね備えた太麺が絡む武蔵野うどんの代表格。」
埼玉県に武蔵野うどんを食べに行くなら、この店を外して語ることはできないでしょう。さいたま市にある「藤店うどん」は、武蔵野うどんというジャンルそのものの基準になっている一軒です。初めて訪れた日から今日まで、何度食べても同じ感動があります。それがこの店の、おそらく最大の凄みです。
行列が証明する、揺るぎない実力

駐車場に車を入れる前から、列が目に入ります。昼時であれば当然として、少し外れた時間帯でもお客が途絶えることがありません。そんな光景が当たり前になっているのがこの店です。
ただ、回転は驚くほど速く、10組ほど並んでいても、体感では思ったよりずっと早く順番が回ってきます。うどんを茹で置きしないお店なので、注文から提供まで数分の待ちはありますが、耐えられないほどの待ち時間というのはありません。このご時世でもたくさんのスタッフが稼働しており、オペレーションが相当に練られているのだろうと、外から眺めるだけでも伝わってきます。
店内は飾り気のない、実直な空間です。テーブルと椅子が整然と並ぶシンプルな造りで、余計なものが何もありません。それがかえって、食べることへの集中をうながしてくれます。
プリモチゴワッ、その三つの食感が同時に来る

この店の肉汁うどんを初めて食べたとき、多くの人は麺の食感に驚くはずです。プリッとした弾力と、もちっとした粘り、そしてゴワッとした小麦の強さが、一口の中に同時に存在しています。そのバランスが絶妙で、嚙むたびに小麦の香りが鼻に抜けていきます。細くも太くもない、武蔵野らしい断面の麺は、つけ汁をよく絡め取り、一口ごとに存在感を主張してきます。食べ終えた後も、あの噛みごたえが手の記憶に残るような、そういう麺です。
つけ汁は豚肉と玉ねぎをベースにした、醤油の濃い仕立て。関東の出汁文化の延長線上にありながら、うどん専用に設計されたような力強さがあります。熱々の汁に冷たい麺を浸すと、温度の差がむしろ旨さを際立たせます。
何度でも来る理由が、ここにある
量についても触れておく必要があります。並盛りでも、うどんに不慣れな方には相当なボリュームです。初訪問のときは、器の大きさを見て少し戸惑いました。それでも気づけば完食していた、というのがこの店の麺の引力です。大盛りを頼む常連のお客様を横目に、いつか自分もそちら側へと思いながら、毎回並盛りで精一杯になっています。
肉好きな方にお伝えしたいのが、隠しメニューである「肉増し」の存在です。数ある武蔵野うどん店の中でも最高にジューシーな肉を感じられるこのお店で肉を増すのは、相当な背徳感です。でも、頼んでしまいます。なぜなら、最高だから。
藤店うどんは「ちょっと行きたい」ではなく「また行かなければ」と思わせる店です。武蔵野うどんを語るなら、一度は自分の舌で確かめてほしい。そう思う理由が、この一杯の中にすべて詰まっています。
基準点でもあり、最高峰でもある。 藤店うどんさんは、これからもそういった存在であり続けるのでしょう。
店舗情報
藤店うどん
埼玉県さいたま市日本、〒331-0052 埼玉県さいたま市西区三橋6丁目14−7
