同業グルメ
雪の朝、アジョシ横丁で仕上がる

雪の朝、アジョシ横丁で仕上がる

ナジュシッタン / 나주식당

韓国料理
ソウル特別市

東大門の焼き魚横丁にある老舗食堂で、脂の乗った焼き鯖とスケトウダラ入りテンジャンチゲが朝から楽しめる一軒。

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忘れられない

阿部朋子

飲食支援
阿部朋子

東大門に来るたびに、焼き魚横丁を通り過ぎることができない。路地に入るとすぐ煙の匂いがして、足が自然に向かう。目当ては焼き魚だった。だが11時前に着いたとき、すでに店の中では数人のアジョシが杯を交わしていた。朝からすでに出来上がっている。それを見て、少し羨ましいと思った。

焼き魚横丁の店先

アジョシのチゲ

外は雪が積もり、歩いてくる間に足先が冷えていた。席に着いて焼き魚のメニューを見ていると、隣のアジョシが手元に置いているチゲが目に入った。湯気が立っていた。友人がすかさず「あれにしよう」と言って、チゲを2人前頼んだ。

メニュー

運ばれてきたチゲを見て、まず具の多さに目が止まった。スケトウダラの身、たらこ、白子、大根、豆腐。それだけで鍋の中がほとんど埋まっている。味噌の濃い香りが立ち上って、ぴりりとした辛みが鼻に届く。一口飲んだ瞬間、体の芯から温まった。

チゲ

白子はとろりとして、大根は汁をよく吸っていた。テンジャンの旨みがスケトウダラの淡泊な身に絡んで、単純なようで複雑な味になっている。具をひとつひとつ確認しながら食べた。これは酒のつまみとして置かれていたものだ。それがそのまま、雪道を歩いてきた人間の朝ごはんとして機能した。

鯖の火入れと、韓国式ワサビ醤油という選択

チゲと一緒に焼き鯖が来た。皮目に細かく切れ目が入っていて、火がしっかり通っている。身をほぐすと、ほろほろと崩れた。脂が乗っていて、箸を入れるたびに光る。

焼き鯖

添えられていたのはワサビ醤油だった。韓国の焼き魚にワサビ醤油。日本からすると逆輸入のような組み合わせだが、ここでは当たり前のように出てくる。鯖の脂にワサビの刺激が合う。ワサビが脂の重さを切って、醤油がうまくまとめる。理屈として正しい。ご飯はほかほかで、茶碗の底まで熱が来ていた。

パンチャン

遅めの朝ごはんとして、これ以上のものはなかなか思いつかない。

朝から酒を飲む場所が持つ意味

アジョシたちは食事をしていたわけではなかった。チゲをつまみながら、静かに飲んでいた。朝11時前に。それを不思議だとは思わなかった。むしろ、この店がそういう時間を許容する場所として機能していることに、合点がいった。

焼き魚横丁は観光化された通りではない。地元の人間が、自分たちのペースで使っている場所だ。朝から飲む権利を、誰にも咎められない場所。そういう店が長く続くのは、料理だけの話ではない。店がどういう人間を迎えているか、という話だ。

チゲの底に残った汁を最後まで飲んだ。体が温まりきって、外の寒さが少し遠くなった。次に来るときは、焼き魚と酒だけで過ごしたい。アジョシたちのように、午前中から静かに杯を重ねながら。

店舗情報

ナジュシッタン / 나주식당

韓国料理

ソウル特別市鐘路区 鐘路40ガキル 17

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